今を生きる [コラム]
「私たちは、生まれたときから死に向かっている。今日は、あなたの残りの人生の最初の日。胸を張って、『私は今日、生きたんだ』と言えるような毎日を送っていますか？」
そんなメッセージを受け、一瞬胸に熱いものがこみ上げたけれど、そのうちに私はなんだか焦燥感に駆られた。「今」を生きなくちゃと、一生懸命何かに向かってがんばるほど、意識は未来に向いていくように思えた。輝く何かを捉えたいと理想を追い求めるほど、意識は「今」を通り越して、地に足が着かないほど先へ先へと進もうとする。
ピーター・ウィアー監督の『いまを生きる』という映画を観た。今を生きろと示唆された、とある名門高校の青年は、自分が本当にやりたいことは演劇だと気づき、情熱を燃やした。彼は見事主役の座を勝ち取り、舞台に立ち、「今を生き」た。しかし悲劇的なことに、社会的地位に固執する父にその夢を否定され、自ら命を絶ってしまう。
映画の解釈はさまざまだろうけれど、あの演じきった瞬間が文字通り彼の人生最後の「晴れ舞台」だったと捉えるには、あまりにも悲しすぎる。舞台の上では、彼は「今」を生きていた。しかし、命を絶つ決意をした青年の意識は、「今」ではなく、未来に向かっていたのではないだろうか。そして、彼の歩む先に「理想とする未来」がないことに絶望し、死を選んでしまった。「今」を生きようと必死になるあまりに、「今」を大切にしきれなかったなんて、切ないほどに皮肉だ。
あんなことがしたい、ああいうふうになりたい。そんな理想を持って生きることはすばらしい。でも、ただ渇望するだけでなく、その過程も楽しみながら、今いる瞬間、瞬間を慈しみながら生きていくことも、とても大切なことだと思う。
進むべき方向が見えないとつぶやく私に、友人は言った。
「ばたばたせんと、今の場所にいたらええねん。」
私は彼の言葉を半分だけ聞き入れ、目標のために「がんばる」のをちょっとだけやめようと思った。今日私を支えてくれた靴を磨き、いつも安心できる空間を提供してくれる自分の家の床をぴかぴかに拭いた。そして、丁寧にお茶を淹れて、ゆったりと観た映画が、『いまを生きる』だった。
いまここのわたしへ。楽しみながら、今を生きながら、進んで行こう。
そんなメッセージを受け、一瞬胸に熱いものがこみ上げたけれど、そのうちに私はなんだか焦燥感に駆られた。「今」を生きなくちゃと、一生懸命何かに向かってがんばるほど、意識は未来に向いていくように思えた。輝く何かを捉えたいと理想を追い求めるほど、意識は「今」を通り越して、地に足が着かないほど先へ先へと進もうとする。
ピーター・ウィアー監督の『いまを生きる』という映画を観た。今を生きろと示唆された、とある名門高校の青年は、自分が本当にやりたいことは演劇だと気づき、情熱を燃やした。彼は見事主役の座を勝ち取り、舞台に立ち、「今を生き」た。しかし悲劇的なことに、社会的地位に固執する父にその夢を否定され、自ら命を絶ってしまう。
映画の解釈はさまざまだろうけれど、あの演じきった瞬間が文字通り彼の人生最後の「晴れ舞台」だったと捉えるには、あまりにも悲しすぎる。舞台の上では、彼は「今」を生きていた。しかし、命を絶つ決意をした青年の意識は、「今」ではなく、未来に向かっていたのではないだろうか。そして、彼の歩む先に「理想とする未来」がないことに絶望し、死を選んでしまった。「今」を生きようと必死になるあまりに、「今」を大切にしきれなかったなんて、切ないほどに皮肉だ。
あんなことがしたい、ああいうふうになりたい。そんな理想を持って生きることはすばらしい。でも、ただ渇望するだけでなく、その過程も楽しみながら、今いる瞬間、瞬間を慈しみながら生きていくことも、とても大切なことだと思う。
進むべき方向が見えないとつぶやく私に、友人は言った。
「ばたばたせんと、今の場所にいたらええねん。」
私は彼の言葉を半分だけ聞き入れ、目標のために「がんばる」のをちょっとだけやめようと思った。今日私を支えてくれた靴を磨き、いつも安心できる空間を提供してくれる自分の家の床をぴかぴかに拭いた。そして、丁寧にお茶を淹れて、ゆったりと観た映画が、『いまを生きる』だった。
いまここのわたしへ。楽しみながら、今を生きながら、進んで行こう。
mymery さん、元気そうで嬉しいね。
流れに乗って愉しむ中で、
風景や登場人物や出来事との響きあいがある様に想います。
王様の話された、後付けというのもその通りではないでしょうか。
それぞれが自分の響く様に、受け止め、自分流の願いで変えようとするけれど、
時と場合で変わった様に周りが変化して流れが変わることも・変わらぬこともあると想います。
そんなグラデーションの人生もまた愉しみのひとつと捉えて、
あるがまま、なるようになる
（全てが意のままではないものの少し意になる、
またセレンディピティという意外なハッピーにもめぐり逢える）
そんな気がしますよ。
mymery さんの輝ける未来を応援しています。
(*＾＾*)vv(*＾＾*) ～♪
．
by jikuh (2008-05-20 07:34)
外は大雨で、仕事に行きたくなくてだらだらしていますが、気持ちが引き締まりました。
さあ、これから出勤です。
by YAP (2008-05-20 08:21)
うちのちびちゃんは「今」だけを生きているとよく思う。
過去も未来も見てなくて１分１秒毎成長しながら「今」だけを生きている。
一緒にいる私も「今」だけを過ごしてしまうので、いかんいかん私は未来を見なくては！と思うよ。
せめて１０分先を考えたいと思います。
by あちた (2008-05-20 18:19)
豊かな時間だったんだなあ、と想像しました。
靴を磨いて、床をぴかぴかに磨いて、ゆったりをお茶を入れて観た映画。
とっても素敵だね。
Carpe Diem.
今を生きる、ということと、未来に備えることと。
パウル・コエーリョの書いた『アルケミスト』という本の中で出てきた賢者のお話を思い出しました。
少年が賢者に会いに行くと、そこには知恵を聞きたい人たちの行列が。
やっとの思いで賢者のところに辿りついて、話を聞きます。
「豊かになる秘訣を知りたいんです」 （ちょっと表現は違ったかも）
「私はとても忙しいので、あなたにこのスプーンと油を預けましょう。スプーンに入った油を決してこぼさずに、一時間ほど私の屋敷を見てきてください」
「わかりました」
少年は油をこぼさないように、じっと手元を見て歩き、賢者のところに戻ります。
「賢者よ、私はこぼさないで回ってきました」
「そうか。ところで君は私の自慢の庭を見たかい？ あるいは珍しいペルシャの掛け軸は？ 広間においてあった彫像はどんなだった？」
少年が一つもそうしたものを見ていないことを告白すると、賢者はもう一度じっくり、眺めてくるように促します。そこで少年は、今度はじっくりと見て回り、賢者のところに戻るのです。
「賢者よ、あなたの素晴らしい世界を見てきました」
「それはよかった。ところで私が預けた油はどこかね？」
油はいつの間にか、スプーンからこぼれてしまっていました。
「では一つだけ、秘密を教えてあげよう。よく生きる秘密とは、世界の全てを見ながら、それでいて油のことを忘れないことである」
・・・こんなお話でした。
今を生きること。
将来に備えること。
その二つはバランス、というきれいな言葉で割り切れるものではなくて、もう少しだけ複雑な関係なんだろうなと思います。うまく、その兼ね合いが取れるようになれるのが、大人になるということなのかな。
そんなことを考えながら、うん、僕もお茶を淹れてみようと思いました。
「今を生きる」は良い映画ですよね。
実は原作も持っています。
バラの蕾を摘むのならいま
時の流れはいと早ければ
今日咲き誇るバラなれど
明日には枯れるものなれば
でも枯れたって綺麗じゃないか。
by masashi (2008-05-20 21:08)
☆jikuhさん☆
ありがとー！私は元気です！
シンプルで奥が深くて、真理みたいで流動するような言葉をありがとうございます。
立ち止まらず、流されず生きていけたら、と思います。
どっちも大得意ですけど（えっへん！）
セレンディピティ、後から気づくものだけど、なんだか必然のようにも思えるから不思議です。
by mymery (2008-05-20 21:50)
☆YAPさん☆
うれしいお言葉、ありがとうございます。
いってらっしゃいませ☆
ん？ もう「お帰りなさい」かな？
by mymery (2008-05-20 21:51)
☆あちたちゃん☆
赤ちゃんは、今を生きる天才だね！
私は早くして今を生きることを放棄してしまった（せざるを得なかった）気がする。
でも、そんなの今だって取り戻せるぜ！Seize the day!
あちたちゃん、その豊かな時を大切にしておくれ～。
大人たちは先を考えるの大得意なんだから、今はちびちゃんから大いに学び、それを私たちにシェアしてくださいな♪
by mymery (2008-05-20 21:54)
☆masashiさん☆
わーっ、素敵なコメントありがとうございます。mymery感激！
感激しすぎて、記す言葉を見失っています。
何を書いても上滑りになりそうな感じ。
感性をもっと磨きたいなぁ。言葉に対してだけじゃなく、もっと深い、魂に関わるようなところの感性を。
masashiさんは、泉のような人だ・・・。
（ちなみに、私は海のような人だと言われます。
なお、泥沼は結構得意です。）
by mymery (2008-05-20 22:25)
うーん、どうなんでしょうねえ。そんなふうになれたらいいのですけれど。なお、泥沼は僕も結構得意です。
by masashi (2008-05-22 08:21)
>あんなことがしたい、ああいうふうになりたい。そんな理想を持って生きることはすばらしい。でも、ただ渇望するだけでなく、その過程も楽しみながら、今いる瞬間、瞬間を慈しみながら生きていくことも、とても大切なことだと思う。
うんうん、わかるわこれ！
子供の頃、よく「大人になったら」何になりたい？って聞かれたけどさ、
なんか違和感を感じてたのよ、この質問。
大人になったら人生それで完成形なのかなー、って気がしちゃって。
肌の曲がり角をとっくに過ぎた今でも
まだまだ野望持っててもいいよね！
そして、その野望を達成するための「今」も大切にしたいなあと思います。
千里の道も一歩からってやつ？お互い頑張ろうぜぇ♪
by みかづきん (2008-05-22 23:58)
☆masashiさん☆
「泥沼友の会」を結成しましょう。
by mymery (2008-05-23 23:10)
☆みかづきん☆
さすがみかづきん！子供の頃から感性豊かだね。
そういう子供の頃の感覚ってすごく大切だよね。
私は子供の頃、ルールは守らなきゃいけないという超自我と、理不尽なルールが存在するというダブルバインドにいつもジレンマを感じていたなぁ。まだ完全には克服できていないかも。
いや、克服しつつあります。今を生きるためにぃ～！
by mymery (2008-05-23 23:15)
お久しぶりです～。
もーきち旅行復活しましたよ～。
今を頑張る、という意味すごく分かります。
ただ、頑張れないバランスの時に頑張ると
疲弊するばかりで、気をつけるようにしてます。
自分自身が妙なとこで完璧主義者なとこがあって
ついつい頑張りすぎて効率良く、合理的に進んだことが
無意味になったりします。そんなときに自分を楽にさせる
ために「ほぼ完璧や。ＯＫ、ＯＫ。」と自分に
言い聞かせたりしてます。
by くろた (2008-05-28 13:37)
☆くろたさん☆
あぁ、いいですね。自分にOK出してあげると、ほっとしますよね～。
私も、完璧主義で、変に気にしてしまうところがあるんです。
でも、徐々にいい方向に変わってきています！
もーきち君を見習って、マイペースでいこうと思います。
by mymery (2008-05-28 19:35)