出逢いと別れと

　ここ最近、たくさんの出逢いに恵まれている。そして同時に、いくつかのさよならにも。誰かとの物理的距離が遠くなるときに感じる、あの切なさ、宙に浮いたような感覚。そういう心許なさを感じるたびに、あぁ、知らず知らずのうちに、自分は相手に依存してきたのだな、と思う。

　数年前、海外のとあるチベット民族の居住区を旅していたときのこと。親しくなった外国人の友人が、その地を去ることになった。バス停で見送りながら、「I will miss you.」と言ったら、「missだなんて言わないで。何かをmissするってことは、今を感じていないということだよ。いつでも、今を生きればいいんだ。」と、返された。「なんで？　あなたとさよならするのが悲しいから、そう言ったんだよ。自然な感情だよ。」寂しさからくる不満にまかせて、私は友人に言葉をぶつけた。

　あのときは分からなかった友人の言葉の意味、今は分かるような気がする。missという単語の中にある、「何かを欠く」という意味。それは、「何かが足りない」という思いであり、「今ここ」を享受できていないということにほかならない。「miss」を感じているときは、足りない何かを探して心が未来や過去に馳せられ、「今」に立っていないということなのだから。

　I will miss you.　と、友人に言ったあの時と同じように、私は今でもやっぱり誰かとさよならするときには寂しさを感じる。感情はコントロールし切れていないけれど、私は誰かを見送るとき、「I will miss you.」ではなく、「See you again!」と言うようになった。ありがとう。また会うときまで、元気でね。そういう思いを込めて。

　今足りないものにフォーカスするのではなく、今あるものに感謝しよう。人との出逢いにも感謝して、ひとつひとつを大切にしよう。訪れるたくさんの出逢いに、さよならがあるのだと考えると、やっぱり切ない気持ちが湧き出てしまうけれど、そのときは、その感情も「今」を構成するものなのだと、抱きしめてあげよう。いつか別れが訪れるかもしれないからこそ、出逢いはより貴重なものになる。あなたとの出逢いに、感謝します。ありがとう。

コメント 4

人との出会いって、奇跡みたいなものだよね。
日本国内だけで考えても、１億数千万分の１の確率だよ。
ましてや、その中の「感謝すべき出会い」なんて・・・。
だからこそ、出会いは貴重だし、大切なものだと思うんだけど、果たしてその出会いを自分はどれだけ大切にしているのかと、今フト自問。

なかなかゆっくりコメント出来ないけど、あなたの紡ぐ言葉の数々は、いつも私の心をゆさぶってくれます。ありがとね。
by junita (2008-06-18 23:47) 

☆junita☆
そんなふうに言ってくれて、ありがとう～。感激だす！
すばらしい出逢いたちに恵まれて、私は本当に幸せだなぁと思うよ。
思えば、junitaとの出逢いも、ふとした拍子に訪れたよね。
junitaの言葉や写真からは、時を大切にしている感じを受け取れるから、
きっとそういう人なのだな、と思う。
また会って話そうねーーー。
by mymery (2008-06-19 21:54) 

>いつか別れが訪れるかもしれないからこそ、出逢いはより貴重なものになる。
私が以前blogでこういった内容を書いたときに
mymeryが共感してくれたことを思い出したよ。
わかるーーー、これ、わかるわーーーー。

See you again、いい言葉だね。
私も、中国語の「再見」に込められた意味を
もっと大事にしたいなーと思いました。ありがとう。
by みかづきん (2008-06-19 23:01) 

☆みかづきん☆
うちら行動似てるもんねぇ、いひひ☆
再見。うん、これもいい言葉だね。
挨拶や慣用句に言葉に込められた意味って、何気に深いよね。

大切なものを大切にする。
そういう当たり前のことができる人でいたいな。
by mymery (2008-06-19 23:59)